IEC/EN 60204-1 規格改正情報
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IEC 60204-1 ED7 (第7版)
IEC 60204-1 ED7 (第7版) の発行時期は、2028年4月の見込です。(2024年7月時点)
今後の規格策定作業の進捗によって大幅に前後する可能性がありますので、継続して状況を注視する必要があります。
IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 (第6.1版) 発行
2021年9月15日に IEC 60204-1 の最新版として、IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 (第6.1版) が発行されました。
改正された部分のボリュームは、実質10ページ程度のすぐ読める内容です。
IEC 60204-1 に対応する JIS 規格は、 JIS B 9960-1 (機械類の安全性−機械の電気装置− 第1部:一般要求事項) になりますが、 AMD1:2021 に対応した版の発行までにはしばらく時間がかかります。
CEマーキング適合などの目的で IEC/EN 60204-1 を適用されているメーカーの方は IEC 規格を直接参照することをお勧めします。
修正 (AMD) 形式での発行について
修正 (AMD, Amendment) の形式で発行されている規格ですので、 IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 を読んで把握できるのは、 IEC 60204-1:2016 に対する変更内容のみです。規格の全体を理解するためには、IEC 60204-1:2016 と合わせて確認する必要があります。
一応、IEC 60204-1:2016 に対応した JIS B 9960-1:2019 が発行されており、こちらは JISC (日本産業標準調査会) などで無料で閲覧可能ですので、そちらを見ながら確認することも可能です。
IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 での変更内容
全体として変更内容は軽微であり、変更点のほとんどは EN 60204-1:2018 に合わせた修正内容となっています。
すでに IEC 60204-1:2016 または EN 60204-1:2018 に適合している機械装置であれば、AMD:2021 による影響はほとんど無いと思われます。テストレポートについてもあまり手間をかけずに更新できるでしょう。
留意事項
当ページに記載の内容は、当社の規格解釈に基づくものであり、内容についての責任は一切負いません。実際の適用にあたっては、必ず規格原文を確認の上で適用してください。
IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 の主な変更点
主要な変更点は以下の通りです。
- 引用規格 (2) など各箇所
引用規格、参考規格の年号を更新- EN 60204-1:2018 の場合は、Annex ZA を参照します。
- EN 60204-1:2018 の場合は、Annex ZA を参照します。
- 電磁両立性 (EMC) (4.4.2)
「条件を満たさない場合、イミュニティ試験/エミッション試験をおこなう」とされていた記載が削除
- 高度 (4.4.5)
高度の高い場所で使用する装置で考慮すべきパラメータの変化について、「耐電圧」等は例示である旨の記載が追加
- 故障保護 / 一般 (6.3.1)
接触電圧の生理的影響リスクの要因が、「接触電圧の大きさ」と「接触時間」だけに限られない旨を追記
- 保護ボンディング回路 / 一般 (8.2.1)
保護ボンディング回路の構成要素「機械の導電性構造部分」が、「保護接続に使用される機械の導電性構造部分」に修正
保護導体 (8.2.2)
保護導体に使用できないものの一覧から、「機械の導電性構造部分」の記載が削除- 8.2.1項と8.2.2項で矛盾するような記載だった点が解消されました。8.2項の修正は、EN 60204-1:2018 には含まれていない内容です。
- 8.2.1項と8.2.2項で矛盾するような記載だった点が解消されました。8.2項の修正は、EN 60204-1:2018 には含まれていない内容です。
- 起動 (9.2.3.2)
運転開始前の音響・視覚による警告標識の必要性は、リスクアセスメントで判断する旨が追加
- CCS / 一般要求事項 (9.2.4.1)
CCSの安全機能がデータ送信に依存する場合、送信の信頼性を考慮しなければならない旨が追加
- CCS / 非常停止の解除 (9.2.4.8)
「リスクアセスメントによっては、~望ましい」とされていた記載が、「リスクアセスメントの結果必要な場合、~しなければならない」という表現に修正
- 導体およびケーブル / 絶縁被覆 (12.3)
導体・ケーブルの絶縁被覆が危険源となる可能性がある場合について、ケーブル供給者の「指示を求めることが望ましい」という記載が、「指示が考慮されなければならない」という記載に変更
- 金属製の剛性コンジットおよび継手 (13.5.2)
電食作用の原因となる可能性のある異種金属の組み合わせは、「避けることが望ましい」という記載から「避けなければならない」という記載に変更
- 電気装置のエンクロージャのマーキング (16.4)
認証マークや各国法令に関する表示要求の削除
- 検証 / 一般 (18.1)
検証を a) から h) の順に実施できない場合でも、a) および b) を必ず最初に実施する要求が追加
- 試験2 故障ループインピーダンス及び過電流保護機器の適切性の検証 (18.2.3)
故障ループインピーダンスの測定は A.1.4 に従うとしていたところ、「TNシステムはA.1.4、TTシステムはA.2.4」に従うとした- 18.2.3項の修正は、EN 60204-1:2018 に含まれていない内容です。
- 18.2.3項の修正は、EN 60204-1:2018 に含まれていない内容です。
EN 60204-1:2018 への強制切替期限
機械指令の整合規格 EN 60204-1:2018 への切替期限は、2021年10月2日です。
前版の EN 60204-1:2006/A1:2009 を整合規格として適合宣言をすることは原則できなくなっていますので、CEマーキング対象の機械で EN 60204-1 を適用するものについては、確実に2018年版(第6版)へ適合させるようにしましょう。
EN 60204-1:2018 の変更点 (IEC 規格との差分)
IEC 60204-1:2016 との差分のほとんどは、IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 で修正された内容と同様のため、上述の AMD1:2021 の変更点を参照してください。
以下は、AMD1:2021 に反映されなかった EN 60204-1:2018 独自の要求事項です。
- マーキング,警告標識および略号 / 一般 (16.1)
マーキングは、機械の予想される寿命の間、読みやすい状態を維持するのに十分な耐久性を備えていなければならない。
- 耐電圧試験 (18.4)
耐電圧試験を実施する場合、試験および試験機器は EN 61180 に従わなければならない。
IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 に対応した EN 規格への切替
IEC 60204-1:2016/AMD1:2021 に対応した EN 規格はまだ発行されていません。
先の話にはなりますが、EN 規格の発行後には機械規則の整合規格になることが予想されますので、最新情報を引き続きウォッチするようにしてください。対応 EN 規格の情報は、本ページでも発信していく予定です。
IEC 60204-1 最新版の購入
ご自身で規格を購入される方は、以下の IEC Webstore (外部リンク)などから購入することが可能です。
IEC 60204-1:2016 本体と合わせて確認されたい方は、CSV (Consolidated version) をご購入ください。