UKCAマーク 制度の解説
コンテンツ
CEマーク 受け入れ期間の無期限延期
2023年8月1日、英国政府は、2025年以降も無期限で CEマーク を貼付した製品を受け入れる意向であることを表明しました。これにより、英国で製品を流通させる際に必要なマークは、CEマーク と UKCAマーク のいずれかを選択できるようになると考えられます。
(参考)英国政府 2023年8月1日 発表 "UK Government announces extension of CE mark recognition for businesses"
また、2024年1月24日に、デジタルラベルの導入と、CEマークの受け入れ範囲の拡大に関する発表がありました。UKCAとCEの適合性評価手順の混合が認められることや、RoHS・エコデザインについてもCE受入の対象範囲に含めることが発表されたのは、製造業者にとって朗報といえます。
2024年1月24日時点で、CEマークが受け入れられる技術分野は、以下の通りとされています。
- 玩具
- 花火
- レジャー用ボートと個人用水上バイク
- 簡易圧力容器
- 電磁両立性
- 非自動計量器
- 計量器
- 計量容器ボトル
- リフト
- 潜在的爆発性雰囲気用機器(ATEX)
- 無線機器
- 圧力機器
- 個人用保護具(PPE)
- ガス機器
- 機械
- 屋外用機器
- エアゾール
- 低電圧電気機器
- 電気電子機器に含まれる特定有害物質(RoHS)
- エコデザイン
- 民生用爆発物
これら以外の、医療機器、建設製品、船舶用機器、鉄道製品、ケーブルウェイ、輸送可能圧力機器、無人航空機システムに対しては、CEマーク受け入れに関する2024年1月24日の発表は適用されません。
UKCAマーク 制度の概要
英国のEU離脱 (Brexit) と UKCAマーク
英国は、2020年1月31日に正式に EU を離脱しました。また、 CEマーキング などの EU法 が英国に適用される期限は、2020年12月31日をもって終了しました。これにより、これまで CEマーキング を貼付していた製品で、英国(イングランド、ウェールズ、スコットランド)に上市するものについては、 UKCAマーク へ対応しなければならなくなる予定でした。
しかし、その後の英国の方針転換により、多くの技術分野において、CEマーキングが受け入れられるようになったため、医療機器等を除く多くの製品については、CEマーキングを貼付していれば英国へ上市できるようになっています。
留意事項
当ウェブサイトに記載の内容は、当方の法令解釈に基づくものであり、内容についての責任は一切負いません。また、簡略化のために詳細な条件については記載していない場合があります。実際の適用にあたっては、必ず原文を確認の上で適用してください。
欧州市場で必要なマークの種類 まとめ
英国政府の公式ガイダンスを見てもパッと見では少々わかりにくいので、結局必要なマークは何なのかをまとめました。
英国(グレートブリテン島, GB)、北アイルランド (NI) と EU では、原則として以下のマークが必要です。
上市する地域 | 必要なマーク |
GB | UKCA または CE |
NI | CE |
EU | CE |
北アイルランドに関して条件を細分化すると、以下のようになります。ポイントは、 UKNIマーク はほとんどの場合で不要だということです。
上市する地域 | 条件 | 必要なマーク |
NI | ・第三者機関の適合性評価が必須の製品 ・その評価を UK の機関が実施 | CE + UKNI |
NI | ・第三者機関の適合性評価が必須の製品 ・その評価を EU の機関が実施 | CE |
NI | 上記以外(自己宣言の製品) | CE |
GB | 北アイルランドの企業で特定条件を満たす場合 (GB市場への自由なアクセス) | CE または CE + UKNI |
UKCAマーク と CEマーク の違い
法制度としては全く別物になりましたが、市場の混乱を避け、スムーズな制度移行を促す目的もあったことから、製造者・輸入者に要求されていることは実質的に変わっていないといえます。ただし、当面は問題ないと思われますが、今後英国が EU法 に追従しないケースなどが出てくる可能性はありますので、規制の動向には注意しておく必要があります。また、製品分野によっては特別なガイダンスなどが発行されている場合もあるため、よく確認しておきましょう。
EU指令に対応する UKCAマーク の法令
UKCAマーク への切替にあたり、適用される法はEU指令から英国法に置き換えられます。名称を細かく覚える必要はありませんが、UK適合宣言書を作成する場合は記載する必要がありますので、注意しましょう。下表にいくつか例を挙げます。
EU指令名称 (日本語) | EU指令 | 英国法令 |
EMC指令 | Electromagnetic Compatibility - Directive 2014/30/EU | Electromagnetic Compatibility Regulations 2016 |
低電圧指令 | Low Voltage Directive 2014/35 | Electrical Equipment (Safety) Regulations 2016 |
無線機器指令 (RE指令) | Radio equipment - Directive 2014/53/EU | Radio Equipment Regulations 2017 |
機械規則 | Machinery Regulation (EU)2023/1230 | Supply of Machinery (Safety) Regulations 2008 |
エコデザイン指令 | Ecodesign Directive 2009/125/EC | The Ecodesign for Energy-Related Products Regulations 2010 |
RoHS指令 | Restriction of the Use of certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment (RoHS) - Directive 2002/95/EC | The Restriction of the Use of Certain Hazardous Substances in Electrical and Electronic Equipment Regulations 2012 |
UKCAマーク の指定規格
法令要求への適合推定が与えられる技術基準・規格については、 CEマーキング の場合は整合規格 (Harmonized standards) と呼ばれていますが、 UKCAマーク では 指定規格 あるいは 指定基準 (Designated standards) と呼ばれます。
各法令に対応する指定規格の一覧は、英国政府のウェブサイトを参照ください。
指定規格の更新管理
CEマーキング の維持のために整合規格の更新へ追従が必要なように、UKCAマーク の維持には更新される指定規格へ適合し続ける必要があります。当面は同じ規格が採用されると思われますが、EU整合規格と英国指定規格の両方を確認して、同じ規格が採用されているか、それぞれ切替期限はいつか、をウォッチしなければならないでしょう。
UKCAマーク の対象製品
これまでに発表されているところでは、CEマーク の対象製品と同等と考えられます。具体的には、ガイダンスにおいて以下の製品範囲が UKCAマーク によってカバーされる、とされています。
- 玩具
- 花火
- レジャー用ボートと個人用水上バイク
- 簡易圧力容器
- 電磁両立性 (EMC)
- 非自動計量機器
- 計量器
- 計量容器ボトル
- リフト
- 潜在的爆発性雰囲気用機器 (ATEX)
- 無線機器
- 圧力機器
- 個人用保護具 (PPE)
- ガス器具
- 機械
- 屋外用機器
- エアゾール
- 低電圧電気機器
また、UKCAマークの対象製品であるものの、特別な規則があるものとして、以下が挙げられています。
- 医療機器
- 建設製品
- 船舶用機器
- 鉄道製品
- ケーブルウェイ
- 輸送用圧力機器
- 無人航空機システム
- 電気電子機器に含まれる特定有害物質(RoHS)
- エコデザイン
- 民生用爆発物
ファストトラックUKCA
使用するかどうかは任意ですが、UKCAの適合性評価プロセスにおいて、EUの適合性評価プロセスを混合して使用することが認められました。この制度は、ファストトラックUKCA と呼ばれます。
以下の図を見るとファストトラックUKCAについて、理解しやすいと思われます。(図1および図2については、Policy Update: Placing products on the market in Great Britain using UK or EU product markings より引用)
ファストトラックUKCA の概要
従来、UKCAマークを付けるためには、各UK法令の適合性評価をおこなう必要がありました。(図1 a.)
また、CEマークを付けるためには、各EU法令の適合性評価をおこなう必要がありました。(図1 b.)
しかし、UKCAファストトラックにより、各EU法令の適合性評価をもって、対応する各UK法令の適合性評価に代えることができるようになりました。(図1 c.)
また、複数の法令の対象になる製品の場合、UK法令とEU法令の適合性評価を混合することも可能です。(図1 d.)

UK法令の適合性評価が必要な場合
EU法令での適合性評価が認められておらず、UK法令に基づく適合性評価が必須とされる技術分野においては、その部分に関してのみ、UK法令が必須となります。(図2 Reg. 1)
それ以外の技術分野については、EU法令での適合性評価が認められます。(図2 c. Reg. 2-4)

UKCAマーク の使用方法
UKCAマーク の サイズ・大きさ
高さは原則 5 mm 以上である必要があります。適用される法規の中で例外があれば、その限りではありません。

その他の表示に関する規則
- 拡大または縮小をおこなう場合は、公式の寸法比率を守ること。
- 容易に視認でき、判読可能であること。
- 原則、製品本体または包装に表示すること。(2027年12月31日までは、製品に添付した文書への表示も可。)
デジタル・ラベリング
英国はデジタル・ラベリングの導入を予定しており、UKCAマークなどの重要な規制や製造に関する情報を、製品上に物理的に表示するのではなく、オンラインで表示ができるようになると言われています。
UKCAマーク のダウンロード
英国政府のウェブサイトから、データをダウンロードできます。
UKCAマーク の技術文書
技術文書の作成
CEマーキング で要求されている技術文書と同様に、UKCAマーク の技術文書 (Technical documentation / Technical file) の作成が必要となります。技術文書は、規制要件に適合していることを証明するための文書であり、要求されている内容の詳細については個別法令を確認する必要がありますが、基本的には CEマーキング と同じです。
既に CEマーキング に対応されている場合は、その技術文書を構成している資料のうち、英国向けとするにあたって差し替えなければならないものを抽出して対応すれば、多くの場合それほど手間はかからないでしょう。
記録の保管義務
CEマーキング 同様、技術文書は製品を英国市場へ出してから10年間保管する義務があります。市場監視当局もしくは規制当局から提出を要求されることがありますので、すぐに提出できるようにしておかなければなりません。
UKCAマーク の 適合宣言書 (自己宣言書)
UK 適合宣言書 の概要
CEマーキング の適合宣言書 (EU DoC) とは別に、英国用の適合宣言書 (UK Declaration of Conformity, UK DoC) の作成が必要です。第三者機関の関与が無い自己宣言の場合、以下の点について EU DoC から変更を加える必要があります。
- 製品が準拠する EU指令 の名称を 英国法令 に置き換える
- 製品が準拠する EU整合規格 を 英国指定規格 に置き換える
(規格に差が無い場合は変更不要) - EU認定代理人 の情報を 英国認定代理人 の情報に置き換える
(認定代理人を採用していない場合は不要)
UK 適合宣言書 のテンプレート
UK 適合宣言書 のテンプレートを無料で提供していますので、これから適合宣言書の作成をされる場合はご活用ください。
外部リンク
Brexit | 英国政府の Brexit に関するウェブサイトです。 |
Guidance - Placing manufactured goods on the market in Great Britain | 英国 (グレートブリテン島) への製品の上市に関する公式ガイダンスです。 |
Guidance - Using the UKCA marking | UKCAマーク の使用に関する公式のガイダンスです。 |
Guidance - Designated standards | 英国指定規格についての公式ガイダンスです。 |